犬の痒がる体質 / 栄養療法的な血液検査の見方

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皮膚を痒がる体質1

 

 

この子は1歳10か月で、皮膚の痒みが強く

特にシャンプーした後に、皮膚がガサガサになる体質です。

皮膚を痒がる体質2

確かに皮膚がやや弱そうに感じます。

血液検査では、このような体質を見ることが可能です。

 

皮膚を痒がる体質3

 

①ALTが低値。。

ALTやASTはビタミンB6とともにタンパク質の代謝に必要な酵素ですが、肝臓の細胞が壊れることで、漏れ出てくるため、一般には肝臓の細胞が壊れている指標として使われています。

ただ、この数値が低いということは、タンパク質代謝が正常に行われていない。つまり、ほとんどはタンパク質が足りてないか、ビタミンB6が足りてないことを表します。

この子の場合は他の数値でタンパク質が足りていることがわかっていたので、おそらくビタミンB群が不足しています。

皮膚を痒がる体質3

②ALPが低値。。

ALPという酵素もまた、骨や肝臓や胆管系の細胞に存在するため、高値を示すとその異常を検出する血液データをして使われています。

逆にALPが低値だととてもわかりやすい所見です。ALPは亜鉛とマグネシウムがないと活性化しないため、ALPが低値であると亜鉛かマグネシウムが不足していることを強く疑います。

症状の皮膚炎とも合致しています。

皮膚を痒がる体質3

③総コレステロールが低め

当院では体質を変えたいならば、コレステロールの数値を200㎎/dl以上にすると良いとお話しさせてもらっています。コレステロールは内因性のステロイドホルモンの原料となるので重要です。炎症を抑えるのも、免疫を調整するのにも脂質が重要となります。何事も、低すぎもよくないし、高すぎもよくないです。

皮膚を痒がる体質4

コレステロールを上げることは、半年がかりでしなければ、中々上手くいきません。

コレステロールは、脂質の消化に必要な胆汁の原料となっているため、脂質の吸収にもコレステロールが必要です。

コレステロールが低いのに、コレステロールを増やすために動物性脂肪を増やすと、消化能力に負担がかかり、皮膚病がひどくなることをよく経験します。

糖質の量をバランスよく増やしながら、他の不足栄養素を整えながら体重を5%ずつ増やすイメージでいくと上手くいくことが多いです。

そうやって、体を丈夫に皮膚炎体質を変えていくと良いと思います。

 

ただし

 

当院で実施している栄養療法は「分子整合栄養医学」という栄養療法です。

血液検査のデータを見ながら、数値が上がるために必要な量のサプリメントを調整しながら行います。

時には、栄養摂取基準量を超える量も使用していくこともあります。

そのため、使用するサプリメントは高品質なものでないとなりません。

「サプリメントの質」については、別の機会に紹介できたらと思います。